寄せては引いていく甘い波に、だんだん頭のなかがぼうっとしていく。
でも身体は逆に敏感になって、直に肌を吸われれば痺れが走る。
自分の中で何かが変わりつつあることに、不安が募った。
それは唇から洩れる吐息や震えに出るようで、必ずその瞬間、蒼牙は桜を抱きしめた。
思えば、小さなころから、ずっとそうだった。
蒼牙の腕にくるまれるように抱きしめられると、段々と、不安の種はどこかへぱっと飛んで行ってしまう。
怖くない。おびえることなんて何もない。ここに自分がいるから。
それは桜にとって絶対のおまじないで。どんなことにも必ず効いた。
蒼牙は桜が何かに脅えたり、苦しんだりしていればいつでも抱きしめて、震えが収まるまで傍にいてくれる。
変わることはないのだと。
ずっとこのままでいられるのだと。
何の根拠もなしに、蒼牙が傍に存在することが当り前だと思っていた。
でも、それは、瑣末なことであっけなく、脆く崩れ去るものであることをこんどのことで思い知った。
証が欲しい。ずっとずっと傍にいられる証が。
幼いころから特別欲しいものもなく、あきらめることばかりに慣れてしまって。
だから、こんなにも必死になっている自分に正直に驚いた。
ひとつになれたときの痛みに涙は出たけれど、それ以上に蒼牙と結ばれたことが嬉しくて。
甘い痛みの余韻が残るまま、初めて己から口付けをした。そのときの蒼牙の嬉しそうな顔が、愛おしくてたまらなかった。
もっと、と願ってしまう。
言葉では足りないから。もっと。
そう思ってしまう自分がとても恥ずかしい。
もしかしたら、以前のわたしとはどこかちがってきているのかしら。
「桜?」
すうっと耳に熱い吐息がかかる。ぴくっと震えてから、いつの間にかのぞきこんでいる蒼牙と目が合う。
そのすんだ黒い瞳に自分の姿が映っていることに気づいて、慌てて顔をそむけた。
その行動に、蒼牙は少し気を悪くしたらしく、柔らかく動かしていた指を少し乱暴に這わせた。とたんに強い痺れが脳天からつま先まで電流のように迸る。
「やっあ…!」
「なに考えてた?」
「えっ…」
すべてが終わっても、まどろみの中で愛撫はかわされている。心地よさに、つい意識が飛んでしまっていたようだ。
顔を赤くして、黙り込んだ桜を焦らすように蒼牙の指が動く。ふるりとまつ毛をふるわせて、桜は恨めしげに蒼牙を見上げた。
「そう、がくんっ」
「他のことが考えられるほど余裕があるならもう一回する?」
「ち、ちがうもん…っ」
「何が」
桜は唇をあけたりしめたりして、顔ばかりか体まで赤くして、おそるおそる蒼牙を見上げた。
「あの、ね? へんなの…」
「?」
「まえは、一度ぎゅってしてくれるだけで、しあわせで…あっあのいまももちろんそうだけれどっ」
わたわたしながら話をする桜を面白そうに見下ろして、蒼牙は先を促す。
「……と…て」
「ん、ごめん聞こえなかった」
「…もっと…って」
「もっと?」
「もっと、ちかくに、いたいって…もっとぎゅってしてもらいたいって、思っちゃうの…」
私、どこか変なのかな…。と不安そうに問いかけてきた少女の表情はあどけない。
だが首筋や気休め程度にまとっている衣から見え隠れする赤いしるしはこの少女を、匂いたつように艶やかに見せる。
その不安定さに、どくりと鼓動が早まる。蒼牙は舌打ちをした。
「……桜の馬鹿」
「ふえ?」
「冗談のつもりだったのに…」
ひとりでぶつぶつ言いながら、蒼牙は桜の細い顎をとらえて口付けを落とす。
「桜のせいだからな」
きょと、と目を瞠らせてから、桜は顔を赤くした。どうやら蒼牙をたきつけるようなことをしてしまったようだ。
どうしようと思いながらも、どこかそれを求めている自分もいて、初めて味わうさまざまな感情に翻弄される。
でも、嫌じゃない。
桜はきゅっと唇を噛んで、少し身を起した。返答の代わりにぎゅう、と蒼牙の首に腕を回す。まとわりついていた単衣がふわりと褥の上に落ちた。
fin.
これが私たち親子の精一杯。けろけろ~(壊)
蒼牙二回目の火がつく。の巻でした☆←おひ
あらあら
#(’&$#”#!?
あまあま・・・
おおおおお(●^o^●)