強い風がふいて、格子窓がガタガタと揺れた。襖で仕切られてはいるものの、もともと夏や春につかう屋敷のため、隙間風で手足がかじかむ。
単衣に袿を一枚重ねただけの桜は、そっと自分の息で指先を温めた。
たよりなげな高燈台の灯りが、ちろちろと部屋を照らす。
蒼牙は宿直をする浅燈を連れて、席を外していた。出て行って少し経った後浅燈の甲高い叫び声が聞こえてきた。
なんとなくその理由が分かって、桜はぱっと頬を染めてぎゅ、と単衣を握りしめた。
妻問いの応えを蒼牙に返し、それ以上は望まないと言った彼に、今宵妻にしてくれといったのは自分だ。
それを思い出すと全身が沸騰するほど熱くなる。自分の言った言葉に後悔はしてないが、羞恥は消えない。
さまざまな感情をもてあましてるところへ、背後ですらりと襖が開く音がした。ぴくっと肩を揺らして、振り返る。
動きやすい略装に着替えた蒼牙が、ことんと首をかしげた。普段は後頭部で高い位置に結われている黒が首の後ろで一括りにされている。それに、袷はゆるんで、鎖骨があらわになっていた。
「どうかした?」
桜はますます顔を赤くしてぶんぶんと首をふる。まさか見惚れてしまったなんて言えない。
寝台の端で固まったままの桜の隣に座って、細い手を優しくとる。
「…つめたい。やっぱり怖いの?」
やさしく問いかける蒼牙に、桜は頬を染めてうらめしそうに蒼牙を見つめた。それから、こたえるかわりに、ことんと蒼牙の胸に身体を預けた。広くて、厚い。昔は背が同じで、体格もそうかわらなかったのに。
肩にそっと手が置かれる。ことことと早く脈打つ心臓をどうしようかと思いながら桜はそっと顔をあげた。
「怖くなったら言えよ。死ぬ気でやめるから」
「っ、死んじゃやです」
「たとえだよ」
からかうような声音とともに唇が重なった。ぴくっと桜の肩が強張る。ただ触れるだけの口付け。それを何度もくりかえしていくうちに、桜の緊張がやわらいでいく。
細い腰に手を回して、ゆっくりと口付けを深くする。歯列を割って入れた舌が桜のそれと重なる。
甘く吸い上げられて、思わず桜は蒼牙の胸にしがみついた。一度唇を離して蒼牙が桜をのぞきこむ。
熱っぽい瞳が、怖い?と問う。桜はうなじまで赤く染めて、小さく首を振った。
頬にあった手が、頭に移動する。ゆっくりと細い髪をすきながら、蒼牙はふたたび唇を重ねた。
今度は深くなる前にすぐに離れ、そのまま首すじに降りていく。
「っ…」
びっくりして、小さく息をつめた。蒼牙は桜の白い首すじや耳、うなじを撫でる様に口づけを落とす。
初めての感覚に、頭の芯がぴりぴりとして、鼓動がどんどん早くなっていく。
「ぁっ、や……――んっ」
思わず仰け反ると唇がふさがれた。どこかすがるように蒼牙の袷を握ると、強く抱きしめられた。
温かくて、甘い感覚が身体に広がる。桜は蒼牙の背中に手をまわして、ぎゅうと力を込めた。
唇が離れる。視線が絡み合う。桜の頬に温かい涙が零れおちる。ふうわり、と桜の顔がほころんだ。
「…だいすき…」
桜の声に、蒼牙が目を見開く。そして、こみ上げる愛しさに一瞬泣きそうな表情を浮かべた。
俺も。と吐息のように応えて、蒼牙は桜の身体をそっと褥の上に倒した。
良かったねぇ
穴を掘りたいです。
うーむ。これは対抗すべきか…?
のおおおっ////
CPによって照れ度って違うと思うんだ
……CPによって…