「かすみそめ」とお読みください。
漣と蒼牙の出会い。…いま気がついたんですが、あきらと雪路の方が漣より一つ年上なんですね。
「蒼牙、こっちにきなさい。水に触れられなきゃ意味ないのよ」
「いやだっこわいもん」
そういって川辺でうずくまった四歳の弟の姿に、あきらはため息をついた。屋敷の遣り水でもこのような反応では、大河に連れて行ったらパニックを起こすのだろう。
まくっていた袖を直して、蒼牙の隣に腰を下ろす。
「抑えの宝玉持ってれば、だいじょうぶだって言ったでしょう。それに大きくなったら宝玉なしで、自然に制御できるようになるんだし」
「……ふえ」
「たっくもー…。いじめられたままはいやでしょ?」
「おうちのなかにいるもん…」
「…自宅警備員になんのかコラ」
「じたくけいびいん?」
「いやこっちの話。―――こんな弟だけど、どう?」
姉が屋敷の方に振り返る。蒼牙もならうと、ぎょっとした。橘の木の幹に、姉と同い年くらいの少年が寄りかかっていた。夕焼けの色がさらりと揺れる。
その少年の背中には、身丈があまるほどの剣があった。それに見覚えがあって、蒼牙はしばし考え込む。そうだ。この前の武闘会で優勝していた人だ。蒼牙は小さく悲鳴をあげてあきらの後ろに隠れる。
「ずいぶんと、大人しそうなやつだな。ほんとうにおまえの弟か? あきら」
「相変わらず厭味なやつね。そうよ。蒼牙、こいつわたしの幼馴染の漣。そろそろ下士官から出世するそうね。漣」
「まあな」
漣が苦く笑う。なんだかむっつりしててちょっと恐い。蒼牙はますますあきらの裳を強く握りしめた。
そんな蒼牙の視線に合わせるように漣がかがみこむ。
「………女みたいな顔だな」
「――っ!!」
蒼牙は顔を真っ赤にして目を三角にした。真っ直ぐに伸びた黒髪に、黒目がちな瞳はよく女子と間違われる。母や姉に人形遊びと称して着物を着せられることもしばしば。
それは蒼牙にとって屈辱以外の何物でもなかった。
「…ちがうっぼくはおとこだっ」
かみつくように言うと、漣が少し表情を和らげた。
「……ほう。見かけによらず負けん気が強そうだ」
「……れん、おにいちゃんは…なにしに、きたの」
「お前を鍛えにきた。蒼牙、お前は剣士になりたいそうだな」
「……」
こくっと蒼牙は頷いた。漣はマメだらけの手を蒼牙の頭に載せる。
「俺は今日からお前の師だ」
「し…? ししょう…?」
「そうだ。剣を教える。他にもあるがな」
「…剣を…? ほんとに?」
ここではじめて蒼牙はあきらから離れて漣を見上げた。きらきらと輝く黒曜の瞳に、漣はふっと口をほころばせる。
「ぼく、つよくなれる?」
「それは、お前次第だ。俺にもわからない」
そう生真面目に答える漣に対して、蒼牙はもう恐怖がすっかり無くなってることに気づいた。大きな背の少年を尊敬のまなざしで見つめる。武闘会での剣術の凄まじさは幼心を動かす何かがあった。
先ほどとは打って変わった弟の様子に、内心おもしろくないなあ、と思いながらあきらは苦笑した。
聞け、吾子よ。
剣の先を見据えよ。
己の心を見つめよ。
それは時に吾子の苦しみ、痛みとなろう。
しかし恐れることはない。
いつかくる、護るべき君のため、
それが勇気になることを我は祈る。
それが慈愛になることを我は願う。
=海神家に伝わる詩(うた)|作者:不明=
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漣の性格が…違ってたらほんとすみません(ジャンピング土下座)。蒼牙四歳。生涯の師匠との出会い。
ちび蒼牙があさひ化している件
つんでれっこがちび化してるのですよー
トオイメ…
家出♪
るんるん。