『竜の落とし子』
「おーい! 慎、凛、賢!」
「あーっ蒼牙先輩っ新先輩! こんちわーっす」
授業も終わり、さあ帰ろうとしていたところに、闊達とした声が後から降ってきた。折々声をかけてきて遊びに連れて行ってくれたり、美味しい料理のお店に連れて行ってくれたりする新がぶんぶんと手を振っていた。
隣では蒼牙がひらひらと手を振ってこっちこいこっちこいと三つ子を呼んでいる。
「な、激ウマのうどんと傍の店が今日食い放題なんだ。いかねーか」
「うどん…?」
「そば…?」
「それって…」
「あの、ぶつぎりで、ねっとねっとのアレ!?!!」
「いや、違うだろ」
ざっと身を引いた三つ子に即蒼牙のツッコミが入る。
その時、三つ子が胸に下げているメダルが異変を起こす。
淡く光るそれが急に眩しいほど強く輝きだしたのだ。
「ぅえっなんだっ?」
「ひかりすぎじゃないか?!」
「蒼牙先輩人間じゃなくなった!?」
なにごとだなにごとだとおたおたし始める三つ子にため息をついて、蒼牙が右肩を見る。
常人には見えないが、そこには小さな蛇体をちぢこませた水竜がいた。
「浅燈、人身とれるか?」
『あい』
どこからか幼子の声が聞こえてくる。と思ったとたん、眼の前に四歳くらいの男の子が立っていた。耳が少しとんがっている。
それと同時にメダルの光が弱まった。
幼子は蒼牙の袴にしがみついて、恐る恐る三つ子を見上げている。
「こいつ、水神のコドモ」
「ひらたくいやあミヅチの仲間ってとこか?」
「へええーっ」
「浅燈、こいつら、リインと幼馴染なんだよ」
蒼牙が浅燈を抱き上げて、人見知りしている己の式神に言い聞かせる。
「りーん、と…?」
「よろしくー。僕、賢です」
「俺、慎。長男です」
「おい、勝手に決めるな。俺、凛です。いちばん頭いいのが長男だろー?」
「そんなの関係ないよ。僕達一卵性なんだから。ケンカやめようよ」
おろおろする賢を尻目に、賢と凛は言いあいをやめない。浅燈は蒼牙にしがみつきながら、賢の頭をとんとんとたたいた。
「よろちくおねがいしましゅ。ぼく、浅燈でしゅ」
「うん。よろしくね。ほらあ、慎、凛」
「かわいーな」
「でかくなったらのせてくれよ?」
「う? あーいっ」
すっかり脅えが取れて浅燈はご機嫌だ。イドリアンは本当に人と仲良くする天才だな、とぼんやり思いながら蒼牙は苦笑した。
「なになに。なんかうまいもん食べ行くの?」
「アルス」
ひょこりっとどこからか現われた青年に蒼牙が眉をしかめる。
「しかもおごり? いやあ悪いなあ。俺も行く行く」
「生徒におごらせるって……、なあ土竜先生がこっち来てるぜ?」
「ぇえっ」
「ごしゅーしょーさまーほれいくぞーっ!」
「じゃあなアルス」
「そんなーっ」
どんなうどんを……? ほろり
合掌(笑)
それでもジンは素敵なおじさま^^