いきあたりばったりは流石にやばいかと思いなおし少し構成したら…
「思ったより 長くなるかも 過去編よ」
です(笑)☆←
大学で書類を色々かたさなきゃいけないのが面倒くさいです。学生課に今年何度足運んだだろう…orz
+++*+++*+++*+++*+++*+++
「……なんだって?」
主宰殿の玉座の間で、雪路は常になく顔を険しくした。目の前では片膝をついて、苦々しい顔つきの橘がいる。
「皇族の末端に至るまで調べつくしましたが、私兵を使った痕跡が全く残っていないのです」
「…傭兵は?」
「……おなじく」
「馬鹿な。これだけの村が被害にあっているんだ。あきら、暗部に参る」
雪路は地図を投げるように文台に置く。床に広がる単衣を脱いで、冠をとり、灰色の外套を身に纏う。傍にいたあきらは両手を合わせ深く頭を下げた。
「はっ」
◇ ◇
一日目は二四三船場より北下し、三枝の郷近くの宿場に落ち着いた。
一日中船の上で、鍛錬としょうしながらも遊んでいた子どもたちは部屋に着くなりこっくりこっくりと船をこいでいる。
漣は嘆息した。重大な任務を背負ったとはいえ、都から遠く離れるのは彼らには初めてだ。あとではしゃぐなと一喝しなければ。
なぜか修学旅行についてきた教師の気分だ。
襖を足で開けて、瑠那が茶菓子をほおばりながら入ってきた。
「ねえ、九重知らない? いないのよ」
「おおかたこの地の名物料理でも買い占めてるんだろう」
「…あーづかれだあ…」
華音が畳に足を投げ出す。その時、あけていた格子窓から通常の鴉よりひとまわり小さな鴉が入ってきた。
鴉はまっすぐに腹を出して眠っている新に向かい、耳元で騒々しく声をあげた。新が飛び起きる。横で船をこいでいた蒼牙が寝ぼけ眼で身構えた。
「こ、こまくやぶれるっつううの兄姫(えひめ)!! なにしやがるっ」
『先遣隊の報告をしに来たのに、その態度は失礼よ。新。春宮はどこ? あと司令官も集めなさい』
どこか高飛車な声が嘴から洩れる。ばさばさと翼をはためかせながら兄姫は言葉を発した。漣はいつみても面妖な光景だなと思いながら片手をひらりとあげる。
「ここにいる。雪矢は…まだ役人と話しているが」
『そう。まあいいわ。一応弟姫に春宮のところへいくようにいったしね』
兄姫は新の伸ばした二の腕にとまり背筋をしゃんと伸ばした。彼女いわくこれが一番美しいポーズとかなんとか。
『北へのぼって、焼き打ちされた村の様子を見て、その近くに棲んでる配下のものたちに状況を聞いてきたの』
兄姫の言う配下はこのシュアラに太古より棲む鳥たちだ。人間ではない目で、耳で、情報を探る。その翼によりもたらせる情報の貴重さ、スピードは他の追随を許さない。
「それで?」
兄姫は瞳を鋭利に輝かせた。
『兵なんて通ってないそうよ。夕闇になった途端、轟音が響き炎が舞いあがり村を襲ったって』
「…どういうことだ」
『人間が使う道も、兵の足跡なんて残っていない。人間たちがそれぞれ秘密にしている戦の路も見たけれど、とても軍の人間たちが土地を踏み荒し、民を襲ったと翼を広げて言えるほどの証拠がないってことよ』
ばさりと翼が舞う。漣と華音が顔を見合わせた。瑠那はマイペースに煎餅をほおばりながら話を聞いていた。
「空から降ってきたんじゃないの?」
『瑠那ッちゃかさないでいただけるっ?』
「茶化してなんかいないわよ。地上に証拠がないなら上をみるまで」
『天上はわたしたちの領域。私たちの国と繋がってるわ。荒されたら気づくにきまってるわ』
興奮気味に兄姫がばさばさと翼を動かす。そのとき、やっと眠気から覚めた蒼牙が口を開いた。
「じゃあ、私兵じゃないんじゃないかな」
「うん俺もそう思うぜ」
「あたしも」
悠は管狐をあやしながら首肯した。その横では桜が深い眠りについている。これだけ騒いで起きないのだから、相当疲れているんだろう。熱も少しあるみたいだ。
漣は蒼牙を見る。
「というと?」
蒼牙の肩に、ばさりと兄姫が降りる。蒼牙は手をパタパタと動かして言葉をつづけた。
「だから、めだたない人数でこうどうしたんだよ。ひとりとか、ふたりとか」
「被害の大きさで、兵がたくさんうごいたっておもってたけどよ、よおく考えてみれば…」
新がきった先を悠がつなぐ。
「相当の術師だったら、村ひとつやふたつふっとばせるだろう? なあ瑠那姐」
「…まあね」
「ねえさんや帝以上の力をもってたらかんたんだ」
うんうんと三人が頷く。華音は頬に手を当てた。
「……じゃあそうだとして、誰がこんなことしたのよ」
「わからん。しかし、おもっていたよりも危ない旅になるかもしれんな」
「…」
「状態が状態だ。…シュアラの皇族府の罠かもしれないし、…クロキアの可能性だってある」
ちら、と漣が華音を見る。華音は少し複雑そうな顔をしてうーんと腕を組んでいた。瑠那はふうと息を吐く。
「あの閻魔大王がそろそろ気づいてるでしょ。黒幕発見は後回し。ようはこいつらの子守を専念すりゃいいんでしょ」
「こもりってなんだーっ」
蒼牙と新、そして悠が頬をふくらまして立ち上がる。そのかしましい声に、桜がぱかっと瞳をあけた。
がばりと起き上がって、たどたどしく首を回す。そして蒼牙の肩に兄姫が戻っているのを見ると、あっと声をあげた。
「…っえひめ、ごめんなさいっ報告しにきていたの?」
『ええ、姫さま。でも大したことじゃないのです。お熱があるのでしょう? このミヤナギの実を砕いて白湯と混ぜてお飲みください。すぐに下がりますよ』
桜の前に飛びたって、ころんと赤い木の実を落とす。桜は少し瞳をゆらつかせてから、周りを見て、こくっと頷いた。
「ありがとう。えひめ」
『道中はわたくしたちもお守りしていますのでご安心を』
「…夜には役に立たないんじゃねえ?」
とり目だから。と口をはさんだ新をぎろりと兄姫は睨む。
『新!! 腸をついばんでえぐりだすわよっ』
「ひえっ」
fin.
**************************************
兄姫と弟姫はほんとの名前じゃないです。だけどいい名前が見つからないのでとりあえずこれで(笑)
PR