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シュアラ編中心サイト。
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プロフィール
HN:
沙羅の語り部
性別:
女性
自己紹介:
沙羅ノ国。一般的には「シュアラ」の呼称がつかわれている。
帝と巫女姫が執政を行うこの国の、雅で切ない物語。名無しの語り部が語るとしよう。
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 この時期になるとむっしょうにひらひらふわふわのドレス着た女の子が描きたくなります。ぴんくっぽいの。
 バレンタインデーだからかなー?(笑)

 +++*+++*+++*+++*+++
 

 船場に停泊している船の地下の武器庫に、中級武官の男が音もなく入った。扉を閉めれば辺りは闇。ひと息も置かずに白い輪郭が現れる。
 胸元に黒い晒しを巻き、丈の短い黒い衣を纏っているくの一だ。男と女はさらに武器庫の奥へと進む。
「民は帝に恨みを持っていますわ。巫女姫ではなく、…皇帝軍の援助がくると流せば、武器をもって襲ってくるかもしれませぬ…」
 紅をひいた口を引き上げて女が笑う。男はくくっと喉をならした。
「くくく…そううわさを流したのはてめえらのくせに。……閣下の目障りなものがやっと消せるというわけだな」
「市民と軍が諍いを始めまする。その混乱に乗じて、禍つ姫を亡きものに…、ッ!」
 ふっ。と女の頬をなにかが撫でた。次いで各所に置かれた行燈に光がともる。
 いまのいままでここには何の気配もなかったはずなのに、突然に何者かの気配が生じる。
 浮き上がった少女の姿に、中級武官は顔を青ざめた。
「…ッ風雅…!」
「くすくす。おもしろそうな話してるねえ」
 ついつい、と飛ぶ二羽の黒い蝶を指先で愛でながら、九重は冷たい双眸で二人を見た。
 自分よりも一回りは下のはずの少女に睥睨されたことに、くの一は激昂して眼光をぎらつかせた。
 懐に手を伸ばし、菱形の手裏剣を放つ。九重ははっと目を見開く。
 ざくっ。と刃は彼女の頸動脈を切り、細い体は傾ぐ…かと思いきや、九重の姿は瞬時に消えて、藍色の人型の紙がひらりと中空を舞う。
 愕然としたその瞬間、ぴたりとくの一の首筋に後ろからクナイが回された。

「忍がかっとなっちゃ、命取りだよ?」
 にや、と口はしを持ち上げる。
「うおらあああああっ」
 男が剣をぬいて九重に斬りかかる。九重はつまらなそうに視線を向けて、下から男の鳩尾を蹴りあげた。
 忍の首筋にクナイを当てたまま、九重は扉に声をかける。
「そろそろいいよお」
 すると、扉がいきおいよく開き、暗部の起動隊が七、八人なだれこんできた。その中には雪矢の姿もある。
 男を動けないように縛りあげていると、されるがままだったくの一が肘を九重の胃のあたりを思いきりのめりこませた。
「――ぐっ…」
 九重のまだ未発達な身体が少し揺らぐ。その隙を見て、くの一はひらりと隊士の頭上を舞いあがり、出口へと急ぐ。
「とらえ、―――!!!!」
 雪矢が周りを護る武官にそう命じる前に、一陣の鋭い風が通り過ぎる。声もなく、くの一の身体がばらばらに引き裂かれ、四散した。ぼた、ぼたと落ちる肉塊の中に立つ少女は息をつく。
「…ごめん。せっちゃん殺しちゃった」
 珍しく顔を陰らせて九重は周りの肉塊を風で外に吹き飛ばす。雪矢は匂う血の匂いにむせそうになりながら首を振った。
「逃げられていたら、もっとひどいことになっていただろうから。ありがとう九重」
 九重はうんと力なく応えて、自分の右手をわきわきと動かした。
 ――うまく、コントロールできない。
 風雅忍軍の中、天才と称される自分だが、ただ力が膨大だからにすぎない。
(…明日から、鍛錬しなおしだな。どこがわるいんだろ…)
 ぽりぽりと首の後ろをかきながら、運び出される男を見る。雪矢が隣に立った。
「…他にも間者がひそんでいるかもしれないな。……叔父上たちもこまったものだ」
「たぶんね。…だけど、変だよ。せっちゃん」
「?」
「お姫を狙ってるのは、わかってるよ。私兵を使って村をいくつも消してまでなんて、大公のじじいどもがそこまで頭いいとは思えない」
「……それについては兄上と、弟姫(おとひめ)から報告が入ってるよ。」
 その時はじめて雪矢の肩に小柄な鴉が止まっていることに気づいた。九重は鴉の羽を優しく撫でる。
「おひさ。弟姫」
『お久しぶりでございまする。九重』
「それで?」
『おそらく、村の焼き打ちは私兵の所為では御座いませぬ』
「それから、兄彦(えひこ)が都から飛んできて、同じことを伝えてきたんだ。今回の焼き打ちに、大公は関係ない」
 兄彦は橘の式神だ。兄姫や弟姫のひとまわりは大きい若烏である。
「…じゃあ、誰なんだろう」
『それは、現地で手がかりが見つかるかと。夜が明けたら、再びわたくしたちは配下の者のもとへ参りますわ』
「頼む。弟姫」
 弟姫は行儀よく頭を垂れた。九重はポリポリと頬をかいて、雪矢を見上げる。雪矢は顎に当てていた手を外して、九重を見下ろした。
「…遠征部隊を二組に分けようと思う」
「二組?」
「僕とトヨはこのまま軍を船で率いていく。九重、漣たちとともに馬を使って山越えを。次の村はあの山を越えたところにあるから…君たちは村の東から目立たぬように、僕たちは西から村に入るんだ」
 懐から丁寧に折りたたんでおいた地図を広げて、九重に見せる。九重の瞳が一瞬銀にきらめいた。このあたりの地形をたたきこんでから、九重は難しい顔をする。
「でも…お姫がいなくなったら軍が混乱するんじゃない?」
「大丈夫だよ。式紙を使う。なるべく被害は最小限におさえるよ。落ち着いた頃合いを見て、君たちは陣に戻ってくる。いいね? …出来るだけ急いでくれ。――桜を頼む」
 九重は一瞬きゅ、と唇を噛んでから頷いて竜巻を起こし、消えた。

 風の軌跡を追いながら、雪矢は思う。
 大勢の軍の中にいるよりも、親しい少数の護衛のなかで行動した方がいい。
 その事実に、雪矢はしらず拳を握り締めた。
 歴代の巫女姫の中で、険しい山越えをしてまで民を救おうと動いた皇女が、はたしているだろうか。いつでも、象徴的な存在で、移動にはきらびやかな輿を使い、最強の兵がそのまわりをぐるりと囲む。
 最も桜は輿を使うのを厭って、自らの足で歩くことを好む。民から救われてるのもそこにあるのだろう。
 ひそやかに宿を抜けだして、恐ろしい夜の山道を行く。
 どれだけ心細かろう。
 あんな小さな身体で。
 けれどそれが最良の路だ。なにより心より信頼する護衛がいるのだから。


「……頼んだぞ……」

 雪矢は呟いて、側近が呼ぶ声を聞きとめて宿に向かった。





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 ちょっと九重が可愛いころ← 
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あうあうあうあうあう
こんなかわいい娘たちを襲うなんてえええええ!
お母さん、許しませんようううう! ここちゃんも、せっちゃんも、桜ちゃんも、みんなこんなにいい子なのに、どうしてこんなつらい目に…・・・!!
(答え:作者はどSだから)
ヴァル 2009/01/19(Mon)17:07:50 編集
あわあわ
お母様、落ち着いてくんなまし;;
あの子たちを良い子とおっしゃっていただけて小春は果報者です。
けれど、Sの雷(いかずち)を落とさなければならないのです…涙。よりよく物語をおもろーっにするために☆←

ええ?Мですようー(ほざけ)
日和小春 2009/01/19(Mon)17:31:49 編集
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