忍者ブログ
シュアラ編中心サイト。
最新コメント
[01/22 小春]
[01/21 梧香月]
[09/12 日和]
[09/12 梧香月]
[09/12 日和]
プロフィール
HN:
沙羅の語り部
性別:
女性
自己紹介:
沙羅ノ国。一般的には「シュアラ」の呼称がつかわれている。
帝と巫女姫が執政を行うこの国の、雅で切ない物語。名無しの語り部が語るとしよう。
[72]  [68]  [67]  [66]  [65]  [64]  [52]  [63]  [62]  [61]  [60
 三つ子草子の沙羅小町ーズ(紅蝶、紫水、月緑)版です。
 三つ子のほうもですが、時間軸めっちゃくちゃです。思いついたままかいてるので。


 +++*+++*+++*+++*+++
※月緑9歳。桜11歳。

 ぱたん。ぱたん。かたん。
 藁で編んだ室の中で、白衣を纏った幼い少女たちが機織りを操る。まだ神殿にあがったばかり。いずれは巫女となる童女たちは拙いながらも足元の踏み板を動かし、杼をしっかり握りしめている。
 

 ぷつん。


「あ…」

 細い繭糸が切れる。月緑はくしゅ、と顔をゆがめた。盛り上がってきた涙をこらえて、ぐしぐしと袖で拭う。
 これで何度目だろう。白の神殿に見習いとして上がりはや二年。指南役の老巫女にまた叱られる、と思って身体をちぢこませた。けれど、どうやら今日は別のところを見ていたらしく、お声はかからない。
 ほうっと息をついて、切れた糸を結ぼうと転がってしまった杼をとろうとした。が、白く細い手がそれをそっと取った。
 しゃらん。と五色の勾玉と銅鏡が胸元で揺れている。この飾りをつけることができるのは沙羅では一人しかおられない。
「巫女姫さまっ」
 はからずも響いた声に驚いて慌てて口をつぐむ。
 鈴を転がすような笑い声が優しく降ってくる。月緑は顔を赤くした。
「織ることに、だいぶ慣れてきたみたいね」
「まだまだです…」
「あら。そんなことないわ。織り目が整っているもの」
 月緑はぱっと顔を輝かせた。視線をあげれば穏やかに笑んで機織りを見ている桜姫の姿がある。
「これっ月の君! 巫女姫にご挨拶もせずに、なんと心得る!」
「あっ! も、もうしわけありませんっ」
 気づけば両隣の少女(しかもかなりの年下)はきちんと両手をそろえてお辞儀をしている。他の少女たちも一様に緊張した様子で頭を下げていた。月緑も慌てて頭を下げる。
「姫さまもどうかおたしなめくださいませ」
「まあ…萌葱(もえぎ)、あなたがいつも先に怒ってしまうから、私の御役目がなくなってしまうのよ?」
 穏やかに微笑んで言葉を紡ぐ姫に、老巫女の萌葱が眉間にしわを寄せる。見習いの少女たちがころころと笑った。
 一瞬で張りつめた場所がふんわりとした空間になる。
「もう顔をあげて結構ですよ。最近上がってきた子は…慣れてきたかしら?」
 新参の童女たちに微笑みをおくると、童女たちは一様に肩に力を入れ頬を紅潮させながらはいっと返事をする。
 よかった、と淡くほほ笑んでから桜はしばし考える風情をした。
「…萌葱? これから標野へ行くのだけれど…月緑…それから…若菜、あざみを連れて行ってもいいかしら」
 その問いかけに萌葱の厳しい目が月緑たちを射抜く。ひとりひとり検分するようにじっくり見てから、萌葱は肩の力をぬいた。
「いいでしょう。三人とも、しっかりと学んでくるんですよ」
 月緑は内心やったあともろ手をあげた。薬草寮が管理している標野に行けるということは、初級見習いから一歩前進したということだ。
 

 巫女姫さまはとても不思議なお方。
 いつも優しくほほ笑んで、温かい心で持って万人に接している。左大臣の父から、巫女姫さまは皇族府のほとんどの大公閣下たちから疎まれて、辛く当られている。と聞かされているけれど、辛いお顔など、一度も拝見したことがない。
 私が白の神殿に上がった時、御社の美しさや雅さに心動かされ知らぬ間に奥の院に入ってしまったことがあった。
 巫女姫さまの執務殿の役割を兼ねている奥の院には見事な庭が広がり、ほぼ中央にある池を囲むように鷺の花が咲き綻んでいた。
 鷺の花の儚さに思わず身いっていると、そっと後ろから声がかけられた。振り返れば、鳳凰の翼に、日輪を象った冠をかぶった年長の少女がいて、飛び上るほど驚いたものだ。
 その冠と、胸を飾る御統は、「巫女姫」の証だったのだから。
 御怒りを覚悟して身を固くしている私に、巫女姫さまは愛らしく笑いながら綺麗でしょう?と問いかけてきた。そして、内緒で庭を案内してくれた。
 それ以来、何かと気にかけてくれる巫女姫さまが、私は大好きだ。だから、心からお慕いしてお仕えしている。
 ――まだ、直接的にはお役に立てないけれど。
 でもきっといつかは、立派な巫女になり、巫女姫さまのお傍で働くのが自分の一番の夢である。


「これは風邪で喉が痛む時にすり潰して、ミヤナギの樹液を混ぜるのよ」
 他の巫女さまたちとともに、ひとつひとつの薬草を手にとって、丁寧に桜は説明する。
 一通りの薬草を教え終わると、桜は近くに侍っている巫女たちを呼んで、場所を交代する。

「これから一日おき、そなたたちは巫女姫君の薬狩りに同行し、薬草とその効果、煎じ方などを覚えるの」
「最後に簡単な試験をしますから、ちゃんと覚えるのですよ」
 黒髪に香油をふりかけて、きちんと後ろで縛った巫女たちが篭に摘んだ薬草を三人に見せる。
 その間に、桜は傍にずっと付いていた悠と何やら話していた。ふと空を見上げた桜の横顔は、どこかさびしげで…。 


「……月の君? きいていますか?」
「ひゃっ、あ、はいっ!!」


 次に視線をもどした時、桜は儚い笑みをうかべながらこちらを見ていた。


 fin.
 ++++++++++
 ちょっと抜けてる月ちゃん。頑張り屋さんです。巫女さん目指してゴーゴゴー!(笑)修学院編も書きたい…w
PR
Comment
name 
title 
color 
mail 
URL
comment 
pass    Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
コメントの修正にはpasswordが必要です。任意の英数字を入力して下さい。
管理人のみ閲覧可   
月ちゃん……かわいい~~♪
嗚呼…ちび賢を会わせたい欲求がむらむらと……
でも、こんなにかわいくっちゃあ、すぐラブラブになってしまうわ……ガマンガマン。
「制作日記」の方に3つ子と3小町の冒険案、提示してきました。どうかしら?
ヴァル 2009/02/20(Fri)14:54:18 編集
そ、そんなあ///
ありがとうございます(>_<)私も賢君と早く会わせたいです~二人で神殿でお仕事するお話書きたいノシノシ
みましたよ♪コメントも残しました(ぐっ)
サクヤとキジローいいと思います(笑)
日和小春 2009/02/20(Fri)18:06:55 編集
Template by Crow's nest 忍者ブログ [PR]