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プロフィール
HN:
沙羅の語り部
性別:
女性
自己紹介:
沙羅ノ国。一般的には「シュアラ」の呼称がつかわれている。
帝と巫女姫が執政を行うこの国の、雅で切ない物語。名無しの語り部が語るとしよう。
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比較的に最近書いてたものがやっと出来上がりました。
入院中のストレスをエロ小説を書くことで緩和。もとは現代用に書いてたものなので、ちょっとアレ? ってところもあるかもですが、スルーしてくださいませ。
ゆるい縛り表現有。もうヤッてるだけです!
BGM:I believe~海の底から~/KOKIA






 恋ひしきに 命をかふるものならば 死はやすくぞあるべかりける
(もしこの命とひきかえに、あなた逢えるのなら、死ぬことなど、なんと容易い)

 尓して其の后名は弟橘比売命白さく、「妾、御子に易(かは)りて海の中に入らむ。御子は遣はさえし政遂げ、覆奏(かへりごとまを)すべし」とまをす。海に入らむとする時に、菅畳(すがだたみ)八重・皮畳(かわだたみ)八重・絹畳八重を以ち並みの上に敷きて、その上に下り座(いま)す。是に其の暴(あら)き浪自づから伏し、御船え進みき。尓してその后歌ひて曰(いは)く、
「さねさし 相模(さがむ)の小野に 燃ゆる火の 火中(ほなか)に立ちて 問ひし君はも」
『(さねさし)相模国(さがみのくに)の小野に、燃えて迫る火の中に立って、わたしの名をお呼びくださったあなたよ』
 故(かれ)七日の後(のち)に、其の后の御櫛海辺に依る。其の櫛を取り、御陵を造りて治め置きき。

※※※
「わぁ……」

 透き通るような天の青さと、吸い込まれそうな深い海の碧に、あきらは感嘆の声をあげた。
 柵に乗り掛かりそうな勢いで景色に魅入っていると、背後から苦笑混じりの声がかけられる。
「屋敷から少し歩けば、松虫草の群生地がある。今がちょうど見頃だろう」
 振り向いて、あきらは嬉しそうに微笑んだ。海も松虫草も、小高い丘にある屋敷も、彼女が大好きなものだ。
「龍彦さん、ありがとう」
 本来ならば夏に避暑へ行くところを、今年は雑事が滞ってどこにもいかないまま休みが終わってしまった。ここ二年ほど夏バテしやすく、療養もかねての旅行がなくなった。
秋に入り、ようよう仕事が片づき、休みを取った龍彦が改めて小旅行に誘ってきたのだ。
 行くならどこがいい、と聞かれて浮かんだのは、自分が生まれ育った生家だった。
一度も帰ったことはないし、住んでいた記憶も朧気だが、何故かそこ以外考えられなかった。
 十五年以上は昔に使っていた屋敷がそのまま残っているとは思いも寄らなかったので、近くの宿で十分だと考えていた。しかし驚いたことに、屋敷も小さな庭もそのままで存在していたのだ。都に越した後も、父親が気にかけて管理人を置いていたのだという。
「自身の隠居用に……と言っておられたが、案外あきらに残そうと考えられていたのかもしれぬ」
「……そうね」
 父親の清牙は、二人の祝言の後、ふらりと消えてしまった。
 残された手紙は、どこまでも闊達な父親の言葉が並んでいたが、どこか遺書めいていることもあり、おそらく父親と会うことはもう二度とないと予感させた。
 さわ、と冷たくなった風が身体を撫でて、あきらは僅かに身震いをした。
寝間着代わりの浴衣だけでは、海風をしのぐのは心許ない。
「……部屋に入ろう」
「待って。もう少し」
 龍彦が肩を抱いて促しても、あきらはその場から動かなかった。
 呆れたように嘆息してから、龍彦は羽織りを脱いであきらの肩にかける。
 ありがとう、と彼女は言ったが、視線は海に固定されて動かない。
 陽に照らされて、海面がちらちらと瞬く。その光の残滓が、あきらにまでかかっていることに気づき、龍彦は知らず息を止めた。
 憂いを帯びた横顔が、所在なげに立つ華奢な肢体が、夫である自分さえ触れるのを躊躇うほど神々しいものに思えてならなかった。
 彼女は、本当は現世にいてはいけない存在なのかもしれない。いつかは海へと還り、あるべき姿に戻る女。……自分がつなぎ止めておけるのは、ほんの僅かで。
 そこまで考えて、背筋がぞっと冷えた。目に見えぬものへの理不尽な怒りが沸々と沸き上がり、気付いた時にはあきらをきつく抱きしめていた。
「龍彦……さん……?」
 怒りと恐れとがない交ぜになった感情が心をかき乱す。
 許嫁という立場と、彼女の血を鎮めるという大義名分をかかげ、女にしたのは自分だ。彼女をこの地に戒める楔は、自分なのだ。だというのに、いつでも胸のどこかで、不安がくすぶるのだ。
 知らない間に、妻が消えるのではないかと。
「……大丈夫よ? 龍彦さんが私の還る場所なんだから。どこにもいかないわ」
 眉を力なく下げたあきらの瞳が揺れる。彼女自身、夫の恐れていることを何度も否定しても、安堵させられない自分にふがいなさを感じているのだ。
 頼りなげな表情を黙殺して、龍彦は一筋あきらの髪をすくいあげ、唇を押し当てた。上がった小さな悲鳴さえも無視して腰に回した腕に力をこめて首筋に唇を寄せれば、びくりと細い肢体がわななく。
「あ、あの……龍彦さん……? その、まだ昼……」
 認めたくなかったが、経験から夫の纏う気配が切り替わったことに気づき、あきらは懸命に龍彦の胸を押し戻した。
「関係ない。……今すぐに抱きたい。確かめたいのだ」
 くすぶる感情は焔になり、胸を焦がす。
 今すぐ確かめたい。妻はここにいる。どこにもいかない。自分のものである。それを、今すぐ確かめたかった。
 耳元で吐息のごとく囁かれた言葉に、あきらは顔を朱(あけ)に染めたまま声を失った。だが、龍彦があきらの浴衣の身八つ口に片手を入れて着衣を乱そうとするので、流石に悲鳴をあげた。
「ま、ま、待って……! せめて部屋の中に……」
「誰も入ってこれぬ」
 袷を掴んで乱せば、鎖骨が露わになる。あきらは頭を振って懇願した。庭で、立ったままの状態で睦みあうなどとんでもないことだった。
「外はいや……おねがい……」
 薄く涙の膜を張ったまま、袷をしっかりかき抱くと、龍彦が一瞬息をのんだ。ぷつりと頭のどこかで糸が切れたような音が木霊する。
 横抱きの要領で身体ごと抱き上げ、そのまま噛みつくように唇を奪う。呼吸する間も与えず、口内を深く蹂躙されて、あきらはただ夫の逞しい首筋にすがることしかできなかった。
 口吻に夢中に応えているうちに、縁側にその身を下ろされる。息も絶え絶えになりながら、あきらは逃げようと身体をよじった。
 しかし、そんなことを許すわけもなく。難なく腕を回してからめとり、後ろから抱き寄せる。乱れていた衿を一気にずりさげ、露わになったうなじから肩へときつく唇を押し当てる。
 あきらは息を乱して、懸命に横目で龍彦を睨んだ。
「龍彦さん!」
「海が見たいのだろう? 庭にいたいといったのはお前ではないか」
 甲冑骨を舌でなぞられ、ざらりとした刺激が電流のように迸る。燃え立つ奔流に理性を持って行かれないよう、あきらはきつく頭を振った。
「海なんてもう見られないわよ……っ! こんな明るいところで……。龍彦さん、すぐこういうことばっかり……っ……」
「男なのだから当たり前だ」
「そんなの、しらな、……っ」
 後ろからまわした手で、かろうじて浴衣の中に隠れている乳房を包み込む。びくり、と肩を震わせて、あきらはおそるおそる振り向いた。
「あの……ここ、縁側」
「ぎりぎり室内だろう。限界だ、許せ」
 悲鳴は唇に封じられ、あきらの瞼の裏には、憎らしいほど秀麗な笑みが焼き付いた。

 ※※※

「……やっ、龍彦さ……っ、ね、お手伝いさんが、見たら……」
 まだ燦々と光が降り注ぐ縁側に、乱れた浴衣を纏う白い肢体は、どう見ても不似合いだ。良いようにあきらの身体をまさぐる龍彦はきっちり小袖を着込んでいるから尚更である。
「呼ぶまで麓から来ない。隣家もないから安心して啼け」
「んっ……ひゃあっ」
 裾を割って忍び込んだ無骨な手が、太股をそっとなぞった。そのまま秘された場所まで触れるものだから、あきらはたまらず身体を震わせて鳴いた。
 その声に余裕がはがれ落ち、肩を掴んでぐるりと身体ごと振り向かせて食むように唇を重ねた。
(……まるで獣だ)
 怖がらせるつもりはない、ただ自分の熱を刻みつけたいだけ。しかし情欲に彩られた瞳は、猛禽のように鋭く、視線だけであきらが身をすくませていることも気付いている。
 だが、分かっていても、止まらないし、止める気もないのだ。それほどに腕の中に囲った妻が何よりも欲しかった。重ねて、奪って、浚って、泣かせてしまいたい衝動に支配尽くされている。
 ――本当に、どうしようもない。
 これでは妻の親友にケダモノ呼ばわりされるのは仕方がないのかもしれない。
 膝立ちにさせて、そっと下着の上を擦る。肩を掴んだあきらが吐息のような喘ぎを漏らした。
「っふ、んぁ……や、龍彦さ……」
 柔らかさを堪能するために繰り返しそっとなぞると、あきらが切なげに鳴きながらふるふると足を震わせた。
「どうした?」
 わざとらしく問いかけて、滑らかな背中を撫で上げる。あきらはぞくりと身悶えして声を漏らした。
「や、やだ……っ」
「いつも言っているだろう。分かるように言えと」
「ふ、いじわ、る……!」
 あきらは耐えきれず龍彦の肩口に顔を押しつける。きっちり着込んだシャツはいつのまにか緩められていた。
直に触れる湿った唇の感触に、全身の産毛が総毛立つ。
「……そんな、じゃ、や……もっと……」
 言質を得たとばかりに、龍彦は秘所を強く押すように撫でる。とたんに甘い声が上がり、白い身体が弓なりに反り返る。
 切なげに眉を寄せ、潤んだ瞳から涙がほろりとこぼれた。その表情に心をかき乱されて、わけもなく笑みが浮かぶ。股布をずらし、愛液を零す泉に指を忍ばせた。
「ぅ、んッ」
 身体が大きく揺れた途端に、ふるりと肌着に包まれたままの乳房が現れて、知らず喉を鳴らした。形の良い胸は、背中が弓なりにしなる度に図らずも差し出される形となった。
 邪魔な肌着を押し上げ、素早く紅い頂を口に含む。ついでに秘所に忍び込ませた
指を一本増やし、花芯を強めにつまんだ。
「ひぁッ、や、ぁんっ」
 胸と秘所を同時に刺激され、指をくわえこんだ花襞が小さく締まるのが分かった。可愛い妻が小さく達したことに気付き、かすかに笑む。更に激しい愛撫を与えると、喘ぐ声に甘さが増した。
「あ、ぁんっ、やあっ」
 高く鳴く声が、逃れようと揺れる肢体が五感を刺激し、ますます欲を煽り立てる。
「……かなり濡れているな」
「っえ?」
「外は嫌だと言っておきながら、随分と……」
「っや、違っ、ん!」
 批難するように首を振る様が可愛くて、更に指で責め立てると、じゅわりと蜜が溢れたのが分かった。
「それは、龍彦さんがっ、ひゃっ、ぁ、ふあ…っ」
 ――龍彦のせいで、と潤んだ瞳で睨まれても、逆効果にしかならないことをあきらは分かっていない。
 蕩けたように染まった細い姿態を揺らし、快感に素直に反応するよう教えたのはほかでもない自分だ。あきらは自分しか知らない。
 たとえようもない優越感が湧きおこり、あきらがあえやかな声を漏らして身もだえするたびに、ますます虐めて、鳴かせてしまいたい衝動にかられる。龍彦しか知らないその身体に、徹底的に自分の熱を刻みこみたい。
 庭に背を向けて座る龍彦をまたぐようにあきらは膝立ちを強いられていた。足ががくがく震えても、腰に回された手のひらが座りこむのを許さない。
 肩に回された手のひらはきつく握りしめられていて、あきらはどうにか自分を支えようと意識しながら、快感に攫われないように抗っているようだった。たぷんと揺れる乳房を掴むように揉んで頂に軽く爪を立てれば、新たな蜜が溢れて龍彦の指を濡らした。
「やぁ、ん……っ!」
 甘い啼き声に下腹部に熱が走り、今すぐ彼女を貫きたいと疼いている。しかし、あえてそれを無視して指と唇であきらを責め立て続けた。
 たまには、妻からおねだりされるまでお預けと言うのも悪くない。
 濡れそぼった秘所に膝をあてて擦るように動かすと、あきらは涙を零しながら高く鳴いた。そして躊躇いがちながらも自分の腰を押し付けるように動かしてくる。
「や、たつひこ、さ……」
「何だ」
「や、もうっ、ぁん!」
 すでに快感の虜になっているにもかかわらず、羞恥と理性との間で葛藤しているようで、あきらはいやいやと頭を振るばかり。細い肩に唇を押し当てると、たまらずに喘ぎが漏れた。
 目元を赤く腫らしたまま見つめて来る眼差しが、たとえようもなく艶を含んで、龍彦の胸をかき乱す。
 花襞に埋める指を更に増やしてかき回すと、透明な愛液が太ももをつうっと伝って床を汚した。
 小さな悲鳴をあげて体をよじろうとしても、回された腕でそれも構わない。
 しとどに濡れる秘部を激しく責め立てたり、焦らすようにこすったりと緩急をつけて愛撫すると、耐えきれないとばかりにあきらが身体を震わせた。
「や、やだ……はずかし、も、だめ……っぅん!」
「あきら」
 掠れた吐息が耳にかかり、あきらはぎゅっと目を瞑った。
 自分の欲しいものは、一つだけだ。
 情欲に彩られた視線を受け止めることはとてもできなくて、両の手のひらで顔を覆った。
「あ、……龍彦さ……! おねが、い……んっ、ほしいの……!」
 いれて。
 かすかな言葉を漏らし、涙の跡の残る頬に手を添えて上向かせると、熱を孕んだ瞳がかちあう。その色に心を貫かれた。
 あっけなくなけなしの理性が瓦解して、薄く開かれていた口吻を夢中で貪った。

「あ、あっ、ひぁんっ、ま、って、あ、ふかい…っ!」
「……っ、あきら」
 膝の上に抱えるようにして繋げた身体から、聞くに耐えない濡れた音が、唇からの喘ぎが、庭先に響きわたる。
 陽光に濡れた身体が照らされるたび、外で情事に耽っていることがたまらなく恥ずかしくなるが、あきらはもうどうすることもできなかった。
 自身の劣情で容赦なくあきらを穿つと、さんざん愛撫で焦らされて鳴きつかれたはずの喉からは、艶を増した声が漏れる。
 甘い喘ぎと、濡れた瞳のまま必死に快感を受け止める姿態に、途方もなく五感が刺激される。否応なしに反応する雄を持てあましながら、花芯を指の腹で圧すと、花襞が引きこむように締まった。
「……っ、あきら、きつい」
「だって……っ、あ、ひゃあんっ……ふっ」
 熱に浮かされてとんでもないことを口走りそうになり、あきらは慌てて手の甲で口をふさいだ。散々なぶられてとてつもなく恥ずかしいことを言ったばかりだというのに。
 だが耳聡い龍彦は口端を釣り上げて濡れた頬に唇を寄せた。
「だって?」
「やぁ、あっ、あんっ」
「言え」
 命令口調だと言うのに、密やかに甘く、頭の芯をとかすような声色で囁かれて、あきらは霞んだ視界のなか、ずるいとばかりに龍彦を見た。
 その恨めしげな視線をものともせず、龍彦は首筋に舌を這わせた。下腹部に忍びこんでいた指が、また淫らに動きはじめて、あきらが小さく悲鳴をあげる。
 このままではまたさっきの二の舞だと、懸命に両腕で龍彦を押し返すが、びくともしない。腕の中で震えながら逃げようと試みる妻に、すっと龍彦が眉を寄せた。
 ふいに身体が浮いたかと思うと、背中が縁台の柱にぶつかった。怪訝な顔をしていると、龍彦が纏わりついていたあきらの浴衣の帯を引きぬく。何を、と思う間もなく両腕をひとまとめに括られて柱に縫いとめられてしまった。
「や、なに……っやぁっ」
 腕を固定された事で柔らかな双丘が差し出されるようにまろびでる。果実のような飾りを舌で転がして、軽く歯を立てれば、細い肩が跳ね上がった。
「……で?」
 絡みつく花襞からわずかに雄を引きぬいて、浅く動かすと、ひくりとそこから新たな蜜がこぼれ出した。素直に反応する身体とは正反対に、あきらは促しても首を振るばかりでなかなか応えない。
「……応えないと、このままだが」
「や、やだ……っ」
 焦れた龍彦が捻じ込むようにあきらの弱いところを貫くと、細い悲鳴があがった。わざとそこばかりを激しく責め立てれば、蜜を零しながらきつく締め上げて来る。
「ぅ、うんっ、や、……あっ、やあっ、んんっ」
 細い顎をとらえて、舌先で下唇を舐めてから口内をなぶるように口づける。見開かれた瞳が情欲に蕩けて新たな涙が零れ落ちる。
「あきら」
 荒い呼吸を整えず、掠れたままの声音で名を呼び、また腰を打ちつける。
「あっ、だ、て、ぁ、んんっ、きも、ち……い、の……っや!? たつひこさ、っ」
 突き動されるような衝動のまま再び唇を塞いで、床に細い身体を押し倒す。衝撃をかわすために背中へ回した腕を伸ばし、括っていたあきらの両手首を解放した。細い腕が首に回されるのを確認してから、脚を掴んで激しく責め立てる。
「や、ぁ、あっ……っお、きい……っ!」
「つ……っ」
 枯れ果てることのない熱情は、更に膨れ上がってあきらの弱い部分を刺激する。燻り続ける欲を、全てぶつけるように奥を貫けば、むせび泣くような喘ぎが上がった。
「ぁあっ、ひあ、ぁ、ぅんんっ、も、だめ……っだめぇっ」
 ――まるで、麻薬だ、と龍彦は頭の隅で思った。
 求めて、鳴かせて、自分以外のことを考える余地を与えないよう奪いつくす、だなんて考えておきながら、とっくに参っているのは自分の方だった。
 あきらを抱きたくて、たまらないのだ。繋がっている今でさえ、なお。
 あきらが零した涙と、お互いの愛液で、床に乱れ散った浴衣はぐちゃぐちゃに濡れていた。彼女は後で羞恥に震えて、怒るかもしれないが、それさえも愛しく思えてならない。
「んっ、やぁっ、や、そん、な……ッ、こすっちゃ……!」
 細い脚を片方だけ肩にかけてぐっと挿入を深くして、無我夢中で腰を激しく打ち付けた。組敷いた妻の手を握れば、きゅうと強く握り返してくる。
 真っ白に染まっていくなか、ただ狂おしい程目の前の女を愛しく感じた。
 誰からも見られないよう、囲ってしまいたい。永遠に、自分だけ見ているように。
「ぁッ、たつひこさ、んっ……す、き……」
 舌足らずな口調で、涙で濡れそぼった顔で、名を呼ばれる。
 このようなものでは、足りない。更に、繋がって、苛めて、奪いつくしてしまいたくなる。
 どうしたら自分が満足するのか。白濁とした意識のなかでおもう。
 何故、目の前の妻が、こんなにも愛おしいのか。
 額に汗が流れおちる。かつてない鮮烈な快感に一瞬震えた時には、あきらの中に精を放っていた。

※※※
 
 お互い荒い息を吐きながら、強く腕をまわして抱きしめあう。ほのかに甘いあきらの匂いに誘われるように首筋に顔を埋めれば、妻は優しくゆっくりと髪を梳いてくれる。
「そうやって……甘えてくるから」
「何だ」
「怒る気も失せてしまうじゃないの。ばか」
 ぽかり、と胸を軽く小突かれる。龍彦は小さく笑ってあきらの頬に口づけを一つ落とした。

 Fin.

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