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シュアラ編中心サイト。
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プロフィール
HN:
沙羅の語り部
性別:
女性
自己紹介:
沙羅ノ国。一般的には「シュアラ」の呼称がつかわれている。
帝と巫女姫が執政を行うこの国の、雅で切ない物語。名無しの語り部が語るとしよう。
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姫沙羅の約束の続き…っぽい。
姫沙羅の出来事があった日の夜です。
ちょっとキスシーンはいりまーす。背後注意ー。



 (遅くなっちゃったな……)
 そろそろと背中の傷に響かないよう寝台に横たわって、ふうと息をつく。
 なんとなく寝付けなくて、兵法書を読んでいたら随分と夜更かしをしてしまった。行燈の灯りを消して、掛け布にくるまる。
 静かな月の光のもと、そっと手に持っていたものを持ち上げた。
「沙羅双樹……」
 沙羅の国花。花ことばは「愛らしさ」だということを、あの幼馴染は知っているのだろうか。
「知ってても気にしなさそう。鈍感め」
 暗い天井にむかって、べーっと舌を出す。気分が晴れないまま寝がえりを打った。途端走った激痛に思わず小さな悲鳴をあげる。
「…いっ、つぅ……」
 ずきん。ずきん。とさっき軟膏を塗ったばかりの傷口が疼く。
 痛くて、息もできなくて。だけど誰かを呼ぶのも憚られて必死で息を押し殺した。
 ぎゅう、と閉じた瞼の裏で、雪路の声が木霊する。
『あきら、目をあけて…! 死なないで…っ』
 大丈夫よ。死なない。だから泣かないで。あたしはつよい。知っているでしょう?  そして、これからも雪を守るの。
 雪が、ひとりぼっちじゃなくなるまで。幸せになるまで。
 だから、こんなところで、負けない。こんな痛みも我慢できないぐらいじゃ、強くなんて、なれない。
 なのに。胸が痛くて痛くてたまらない。知らずに涙がこぼれおちて布団が濡れていく。嗚咽を噛み殺しながら、必死に涙が止まるのを願った。
「あきら」
 そ、と髪を撫でる感覚に、混濁していた意識が現実へと引き戻される。瞼をのろのろとあげれば、白い寝間着に紺の羽織を召した義兄が枕元に立っていた。
 義兄の案じるような表情に、張り詰めていた糸が緩んで、もっと泣きたくなってしまった。
「あ、にぅ…え…」
「良い。喋るな。……呪の名残がまだ尽きていないか」
 龍彦は寝台に座ると、印を組んで短く神咒を詠唱する。そっと額の上に置かれた手のひらがひんやりと冷たくて気持ちが良い。
 次の瞬間、くい、と顎を持ち上げられ、柔らかく唇が重なった。
 先年の事件でけがを負って、意識を取り戻してから何度も繰り返された行為なので、あきらも抵抗なくすんなり受け入れる。
 じくじくと痛んでいた背中から、ゆっくりと痛みが遠のいてくのを感じながら、あきらは瞼を震わせた。
 一度離れた唇がもう一度重なる。龍彦は身体をずらして、今度は覆いかぶさるようにあきらの吐息に弾む唇を塞いだ。今度は軽く口をひらいて、食むように。
 あきらの頭と敷き布の間に手を入れて、いとおしむように乱れた黒髪に指を通す。
 先ほどよりも濃い口付けに戸惑って、あきらは白い手を所在無げに伸ばす。その手をからめ取って、下唇を軽く吸ってから、龍彦はあきらから離れた。
「もう、痛くないだろう?」
「ん…。あの…疲れてるのに…ごめん、ね……」
「気にするな。俺は部屋に戻る」
 あきらは無意識に繋がっている手のひらをきつく掴んだ。龍彦が何も言えないで固まっていると、慌てて手を離そうとするが、震えた指先がうまく動かず敵わない。
 しばらく無言の間が続いてから、龍彦は嘆息した。そしてあきらの手を握り直して、羽織を脱ぐ。
「俺には遠慮しなくていい。だが、他の奴とはするなよ」
「……うんっ」
 拒絶されなかったことにほっとして、全身から力を抜く。
 あきらに背を向けて龍彦は横になった。昔のように懐にもぐりこんで抱きしめてもらいたい気持ちもあったけれど、もう小さな子供ではないのだから、それは頼めない。
 大きな背にぴとっとくっつくと、龍彦の鼓動が伝わってきた。
「…あのね、今日、考えたの」
「……何をだ」
「蓮とね、結婚したらどうかって、義兄上がいったでしょ? すぐあり得ないっていったけど、考えて返事するものだって喜多がいったの」
 龍彦がみじろいで視線をあきらに投じると、照れたようにあきらは笑った。
「結論から言うとね、別に悪い気はしないんだ。死ぬほど嫌いでもないし」
「…そうか」
「隊士を諦められたのも、蓮が、まー兄さんや義兄上の傍にいてくれるんならってことで納得できたのもおおきいの」
 ずっとずっと円と龍彦と肩を並べて、共に闘い雪路を守ることが願いだった。だけどそれは叶わなかった。
 どんなに腕を磨いても、複雑な術式を編み出しても、どうしても、この兄達にとって、自分は庇護対象にしかなりえぬのだと、実感した。
 あきらは龍彦の背中に額を預ける。
「何だ?」
「問題無さ過ぎるのが、ちょっとね」

 ――似過ぎてるのよ。あたしたち。
 
 囁かれた言葉に、背の向こうで龍彦が小さく息をつく。
「…それで?」
「似通った者同士だから、同調しやすい。だから、普通よりうまくいくかもしれない。…義兄上は、そう思ったのかなって」
 大きく息を吸うと、小さく肩先が痛む。それを飲み込んでから、背中を見上げた。
「だけど、それで、本当に幸せになれる? あたしは、確かにすごく今つらいよ。苦しいよ。誰かに埋めて貰えれば、楽になるかもしれない。……だけど、これは、自分が背負うべきものだとおもうから…、ひゃっ」
 急に龍彦が身体の向きを変えて、あきらを腕に抱きこんだ。胸の辺りに顔をおしつけられて、かなり苦しい。どうにか苦労して肩の方まで頭をずりあげた。それでも頭をおさえつけられているので義兄の表情はうかがえない。
「…………すまぬ」
「義兄上、どうして謝るの…?」
「言いたくないことまで言わせた」
「…そんなことないわ」
 おそるおそる手を伸ばして、龍彦の背中をぽん、ぽん、と叩く。
「お前は、」
 吐きだされた声音は、常よりもずっと掠れていた。切なくなって、また涙がこぼれそうで、肩先に顔をうずめた。
「いつもそうやって強がる」
「……義兄上には言われたくない。甘えるなって、いつも言うじゃない」
「甘えが過ぎるのは怠惰の表れだが、無さ過ぎるのも身体に毒故するな」
「……むーぅ。屁理屈」
 唇をとがらせれば、苦笑が返ってくる。短くなった髪を優しく梳かれて、あきらはいつの間にか眠りの淵についていた。



一応fin.
明日改稿しまする!
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あっきーかわゆすおー(*´∀`*)
義兄上的にはあっきーの痛ましい姿を見て、気が気じゃなくて滅茶苦茶心配なんだろうな。
でも傍目からすると役得に見えてしまうジレンマ。
義兄上も強がっちゃ駄目だお(*´∀`*)

蓮は一応、花言葉は知っていると思います。
想い人が"華"だからね!
あっきーの気持ち自体は自分に向いてないと思っているから、気にせず渡しちゃうんだろうな。
鈍感め。〆たい。
梧香月 2011/12/24(Sat)00:43:47 編集
意地っ張り娘(´・ω・`)
確かに滅茶苦茶心配してるっちゃあしてるんですが、
こういう風に夜側にいるのは下の紹介できない息子的な意味でしんどいらしいですよ(・∀・)しかし気の相性が、海神のなかで一番あってるのでいたしかたない。
これ兄上視点だと完全R15になりますからねwww耐えろwww

蓮くんてば一途( ´艸`)
乙女を舐めちゃいかんぜよ。顔が良い自覚あるのにもう鈍感さんwww
シメるのは瑠那ちんと萌に任せる(`・ω・´)
小春 2011/12/24(Sat)10:29:39 編集
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