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プロフィール
HN:
沙羅の語り部
性別:
女性
自己紹介:
沙羅ノ国。一般的には「シュアラ」の呼称がつかわれている。
帝と巫女姫が執政を行うこの国の、雅で切ない物語。名無しの語り部が語るとしよう。
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ほんのちょっぴりあきら→蓮風味? かもしれない。
あんなかっこいい幼馴染がいたら、どきどきするよね! 普通!
縁談すすめられたら、あきらはどんな気持ちになるのかな? と思って書いてみました。
何か違うーってとこあったら言ってください。どぞどぞ。
※一発書きなので雑です! すみません!



「姫さま」
「なあに。喜多」
 久しぶりに花でも生けようかと、坪庭を望む縁台で思案しているところに、傅役がやってきた。
 振り返れば、思いつめた顔つきで自分を見ているので、何事かと首をかしげる。
「先日、若さまが鷹の御曹司殿と姫さまのご縁談をすすめたとか」
「はっ!?」
 持っていた剣山を取り落としそうになって、慌てて持ち直す。喜多はどんぐり型の眼を見開いて、ため息をついた。
「真なのでございますね」
「ちょ…誰からそんなこと…」
 あの場には海神の人間は義兄と蒼牙以外いなかったはずだ。喜多は苦笑した。
「ご安心くださいませ。喜多以外の者は気づいておりませんから」
「どうして…」
「憚りながら、若様に一番長く仕えているのはこの喜多にございますよ? …姫さまの縁組について、折々に相談を受けているのです。先日の様子から、よもや…と」
 喜多以外は気づいていないのなら、まあいいだろう。あきらは胸をなでおろして剣山に向き直った。
 枝を右手前から剣山に向かって斜めに刺す。少し角度が甘いだろうか。
「……姫さまと鷹の御曹司殿はその場でお断りあそばされたと聞き及びました。考えもせずにお返事を?」

「だって、あり得ないもの」

 ぱきん。と忌み枝を手鋏で切りながら応える。
「家族ぐるみの付き合いで、幼馴染みたいな関係だけど。それだけだし。それに義兄上は冗談っぽく言っていたのよ?」
「若さまは、多少お戯れが過ぎるところがありますが、姫のことを常に案じておいでなのはお分かりになるでしょうに。…先の一件で、その心配は益々増したようにお見受けいたします」
 先の一件。あきらは最初の枝よりも短く裁断した枝を刺す手をとめた。
 じくりと背中が痛む。右肩から背中の甲冑骨のほぼ中央まで出来た刀傷は、三か月経てようやっと塞いだ。肩を大きく動かすとひきつれたように痛むが、それ以外は特に支障もない。けれど家人はここぞとばかりにあきらを館に引き留めて安静にするようにと言い含める。最低でも夏まではおとなしくしていろとのことだ。まったくもって過保護である。
「これは、あたしが勝手に負った傷よ」
「それだけではございません! 御髪をそんなに短くしてしまって……それでは出家したと間違われてもおかしくございませんっ」
 涙声で訴えられて、あきらはやれやれと肩をすくめた。昔は腰より長く伸ばすのが女子の美徳とされてきたけれど、町方では利便性を考えて髪を短くする女性も出てきている。そう珍しいことではないのに、大げさな。
「動きやすいけど…」
「……そこまでして、鶴君(たづぎみ)をお守りしたいのでございますか」
 刺した枝に沿って、桃百合を生ける。形を整えながら、あきらは嘆息した。
「そうよ。鶴の皇子の守り刀になると決めたの。……だけどね、ずっとではないわ」
 袖で涙を拭っていた喜多が顔を上げた。あきらは振り返って、朗らかに笑う。
「帝から、鶴君の御影人候補は未だ弱年故、それが成長するまでと期限を設けていただいたわ。それに、女官位も授けてくださるらしいし、海神家にとっても悪い話じゃあないじゃない」
「……では、その間ずっと独り身を通されるおつもりなのですか?」
「うーん…別にそこまで切りつめて考えてないけど…。御嫁に行くのは嫌じゃないし」
 その一言を待ってましたとばかりに喜多は体をあきらにずずいっと寄せた。皺が増えたなあ、とぼんやり喜多を眺めていたあきらは仰天した。思わずのけぞってたじろいでしまう。
「お嫁に行きたいというお心はあるのですねっ?」
「好きになった人に、よ? これは譲れない!」

「情愛は閨で生まれるものです」

 さらりと吐かれた言葉に、あきらは絶句した。
「ね…!」
「鷹の御曹司殿とのご縁談、よおおく考えてくださいませ。喜多は、幾人も姫の婿がね候補さまを見てまいりましたが、そのなかで鷹の御曹司殿は群をぬいておられます」
「そ、そ…そう?」

「頭脳明晰、才色兼備、身分のつれあいも丁度良く、殿や若様からの覚えもめでたい方。しかも、末若君の師匠にあらせられます」

 最愛の弟を出されて、あきらは言葉に詰まった。年の離れた弟は、三つで母と引き離され、声をうしなった。けれど周りの献身的な介護のおかげか、去年やっと声を取り戻した。そして蓮を師に選び、日々稽古に励んでいる。
 その蒼牙は大層蓮になついて、龍彦やあきらの次…否同列に思っている節がある。

(…まずい。反論できない)

 その時、奥の座敷から侍女が喜多を呼んだ。天の助けとはこのこと。喜多はきつい眼差しを残してあきらの居室を後にした。


「……蓮が婿がね、ねぇ……」
 坪庭に目を移せば、姫沙羅が青々とした葉をさわさわと揺らしていた。
 そういえば、うんと幼いころ、蓮と龍彦と三人で、この姫沙羅の根元に箱を埋めたことを思い出す。龍彦から、自分も小さい時、親友の円と宝の箱を埋めた話を聞かせられて、自分たちもやりたいと言い出したからだった。


『おとなになったら、一緒にあけようね』


 その中身は、なんだったのか。そういえば、あける時期はいつだったのか、よく思い出せない。蓮は覚えているだろうか。
 まだ手習いを初めたばかりの頃だったから、日記にも残っていないだろう。おそらく龍彦はきちんと書いているだろうが。今度聞いてみればさらりと応えてくれるかもしれない。
 ふと思いついて、懐を探って和綴じの小さな冊子を取り出した。間に、円が送ってきた西洋の万年筆、というものがはいっている。墨をすらずに筆先からいんくというものがでるすぐれものだ。
(まあ、顔は良いわよね)
 さらさらと書きだす。頭の中でぐだぐだ考えていてもしようがない。幼馴染の人となりを整理して冷静に考えてみよう。
(頭もいいし。面倒見もいい…。武芸もすぐれてるし……、口下手だけど、義兄上でそれはなれてる)
 だがことごとく鈍感。と大きく書いておく。瑠那もよくこぼしているが、天然じごろなのだ。天然なぶん、性質が悪い。
(…それで…華音が好き、と…いやこれは伏字で書いておこ)
 筆を止めて、唇をとがらせた。そうだ。すでに懸想している相手がいる。…自分も言えた義理ではないが。
(だけど、……あたしは…もう叶わない)
 書こうとして、鼻先につんとくる。ぶんぶんと頭を振って思考を切り替えた。
(そうよ。あんなに好きなんだし……いつか二人が両想いになってくれたら、うんと嬉しい)
 並大抵のことではないだろう。相手はあの天良のおばばさまだ。『手を出すな』と面と向かって言われたらしい。蓮の苦悩は如何ほどであろう。
「…って、それあたしもじゃん」
「何が?」
「いや、だか…、?!」
 不意に後ろから声をかけられて、勢いよく冊子を閉じる。ぎこちない動きで振り向けば、すぐ後ろに蒼牙の手を引いた件の幼馴染が立っていた。
「み、みたっ?!」
「何を」
 きょとんとされて、あきらは脱力した。よかった。
 ばくばくと心の臓が暴れているのに気付かれやしないかとひやひやしながら、懐に冊子を閉まった。
「ど、どうしたの」
「あねうえにお見舞いなの」
 蒼牙は握りしめていた夏椿をあきらに差し出した。
「ししょーに、かたぐるましてもらって、おれがとったのっ」
「わっ綺麗! ありがとう。蒼牙、蓮」
 受け取って、さっそく水盆に生けるね、と返す。だが、蒼牙はぶんぶんと首を振った。
「あねうえのおぐしにつけてあげたいの!」
「髪に? そっか…つけられるかしら」
 いま髪の長さは肩にかかるかかからないかだ。耳の横につけたとして、落ちてしまうような気がして、あきらは困り果てた。

「……心配するな。ひっかかるように枝を細工したから」

 そう言われて、あきらは手の中の夏椿を見下ろした。なるほど、髪にひっかかるようにうまく小枝が細工されている。
 蒼牙ができるわけないので、これは蓮がやったんだろう。
「あねうえーつけてあげるー」
「う、うん」
 蒼牙が近寄って、四苦八苦しながらあきらの髪に夏椿を挿した。
 ふわ、と甘い香りがして、ちょっとだけ泣きそうになってしまう。それを隠すように蒼牙をぎゅう、と抱きしめた。
 それから、蓮を見上げる。そっぽを向いて庭を眺めている幼馴染が、なんだかいつもと違うように見えて、おもしろくない気分になった。
 だから、心の中でおもいっきり舌を出して叫んでやった。


(ちょっとときめいちゃったじゃないのっ蓮の馬鹿!)

fin.

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わーい♪
喜多さんに誉めてもらった!(*´∀`*)
というか喜多さん、本当にええんか! あんなので本当にええんか!(笑)

あっきーカワユス(*´∀`*) ちょっとでもあんな朴念仁に真剣に目を向けてくれて嬉しいおー^^
ちょっとあっきーがかわゆすぎるので、瑠那ちんになってあの野郎〆て来ます(`・ω・´)

これ、蓮side書いてみたい。
ひたすら義兄上に溜め息を吐く内容になりそうだが、書いていいですか!
梧香月 2011/12/23(Fri)16:06:01 編集
御曹司殿ばむざい(・∀・)
喜多はたつやんの乳母さんです。
たつやんも結婚して欲しいのですがわけあってそんなにごり押ししてません☆ 

かわゆいと思っていただけて嬉しいですー。だって蓮くん、誠実だし! ツンデレぷまーです! ときめかない方がおかしい(キリリッ)
るなちんwwwありがとうwww

是非! 是非読みたいです!
わーいわーいヽ(^。^)丿
小春 2011/12/23(Fri)16:19:31 編集
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