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シュアラ編中心サイト。
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[09/12 日和]
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[09/12 日和]
プロフィール
HN:
沙羅の語り部
性別:
女性
自己紹介:
沙羅ノ国。一般的には「シュアラ」の呼称がつかわれている。
帝と巫女姫が執政を行うこの国の、雅で切ない物語。名無しの語り部が語るとしよう。
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日和容疑者は当初「暑さで頭がとけて、自分でもやばいと思ったが抑えきれなかった」と供述、しかし出頭後は「あまりにも眩しすぎて生きるのがつらくなった」と反省の意を表している。りっくん初書きなので指摘お待ちしてます!!!!(150721)






 ふっと意識が浮上する。怠さが身体中を支配していて、動くのは目蓋ぐらいのようだった。緩慢に記憶の整理をしながらゆっくり瞳をあける。
 まず飛び込んできたのは、淡い陽の光を一筋ずつ集めた絹糸のような髪。潮の匂いを孕んだ風が長めの前髪を揺らす。伏せられた睫毛までもが、窓から差すオレンジの光を受けてきらきらと宝石のように輝いていた。
(たんぽぽ畑みたい)
 稲穂によく喩えられる豊かな金髪は、鈴音が一番大好きな花そのものだった。たんぽぽや白詰め草が青空に向かって咲く姿が、とても好ましくて。
 ーーはて。なぜ彼がこんなに近くにいるのだろう。
 唐突な疑問が霞みがかっていた思考に落ちた。そして、この腰の違和感。むきだしの肌にバスタオルが触れて、ちくちくしている。視線を彷徨わせて、さっきまで着ていたはずの水着がソファーの下で丸まっているのを確認した瞬間、まどろみが一瞬で吹っ飛んだ。
「……っ」
 こぼれかけた悲鳴をあやうく呑み込んで、璃音の様子を窺う。
 健やかな寝息をたてたまま、彼は鈴音の肢体を緩く引き寄せた。クーラーが効いているはずなのに、互いの肌はわずかに汗ばんでいて、鈴音の羞恥を煽るのには充分だった。
 部屋についてすぐ、扉に押し付けられるようにキスをされた。いつになく性急な口付けに抗えるわけもなく、シャワーも浴びず、ベッドにも行かずに床にもつれこんで。
 その先のことは思い出さないよう顔を覆った。わけもわからず恥ずかしくてたまらない。はしたないことも口走ってしまった。
 どうにか彼の肌から逃れたい。そう考え始めた鈴音の背中に回された腕が、腰を浅く撫でる。
「~~っ、ぁ……」
 体の中心が、熱く疼く。触れられただけなのに、コントロールできない疼きに支配されてしまう。とにかく冷たい水を浴びたい。それで、服を着て、髪もとけば、彼に悟られずに済む。
 璃音を起こしては駄目。彼が目覚める前に、この熱をさまさないと、もしかしたら呆れられてしまうかもしれない。
 恋人がぐっすり眠っていることを確認して、気配をできるだけ殺して、腕の中をすりぬける。
「……すず……」
 儚い呼びかけに鈴音は肩が跳ねあがらんばかりに驚いた。おそるおそる振り向けば、璃音はタオルケットをくしゃくしゃに抱え込んでまた寝息をたてはじめた。
 ほっと安堵してから水着に着替える前に纏っていたワンピースをかぶる。手早く2人分の水着を纏め、テーブルの上に璃音の着替えを置いておいた。それから、音をたてずに荷物をとってバスルームに向かう。

 ぱちり、とスイッチを押して照らされた脱衣所の眩しさに思わず目をつむった。柔らかな夕闇に慣れた眼には、無機質な灯りは痛いほど強い。何度か瞬きをして、目が慣れてきたところで、ワンピースを脱ぐ。そうして浴室に向かう際、鏡に映った自分に絶句した。
「……り、璃音のばか……っ……」
 うっすらと残る日焼けあととは反対に、くっきり浮かび上がる鬱血のあと。首筋、胸元、ーー白い太ももに散る赤い花びら。彼に愛された徴(しる

し)。情事の名残をこれ以上つきつけられるのが嫌で、背中を確認する勇気も出なかった。
 火照り切った身体をいましめるよう、思い切り冷水をかぶった。ついでに髪も洗ってしまおう。お風呂は、入りたいけれど、あとで。
 できるだけ早く全身を洗って、出た、つもりだった。
 脱衣所で髪を拭っていて、ふとドアの向こうで人の気配がした。まさかと思いつつ、しっかりタオルで身体を隠しながらそっとドアノブをまわす。
「璃音っ?」
 果たしてそこには、乱れた髪も直さずにTシャツと半ズボンを本当に身につけ、腕組みをして不機嫌そうに廊下の壁に背中を預けた璃音がいた。
 あまりの驚きに硬直していると、腕を解いた璃音が一歩距離を詰めた。そのまま頬に手が添えられて、引き寄せられる。
「離れないって、約束したのに」
 触れるだけのキスを落として、これまたご機嫌を損ねたまま璃音は言う。鈴音は俯いて、でも、だとか、だって、と要領を得ない言葉を口ごもる。
 パラソルの下で、深いキスの合間に、甘い責め苦の最中、確かにそう約束はしたけれど。
 じっと見つめてくる碧い瞳はまだ熱を帯びていて、冷ましたはずの火照りが戻ってきてしまう。下手言い訳をしてしまうよりは、と鈴音は背伸びをして璃音の頬になだめるように口付けた。
「……ごめんなさい。あの、すぐ行くわ。だから、待っていて?」
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